花様年華-oklog.

BTSのコンセプト、花様年華に関する考察記事をメインに書いています。個人的な解釈になりますが、参考にしてくださると嬉しいです。2022年現在、少しずつ記事を編集中です。ご了承ください。Twitterは諸事情により閉鎖しております。

LOVE YOURSELF

Introduce my roots.

⑫WINGS Short Film考察 <#2 LIE>

※以下、花様年華Note・漫画 花様年華<SAVE ME>ネタバレ注意

 

前回の記事 

dddona.hatenablog.com

 

今回は2番目に公開されたジミンのShort Filmの考察に入っていきます。

 

目次

 

#2 LIE -ジミン

ではまず、冒頭のナムジュンのナレーションを見ていきましょう。

英語の直訳と小説で翻訳されている文は多少の違いがありますので、今回は小説に基づいて見ていきます。

 

一つの世界は父の家だった。

この世界の大部分は私に親しみが深かった。

それは父と母、愛と厳格、模範と教えにほかならなかった。

 デミアン第1章 二つの世界

 

ジミンは両親によって二年の間、強制的に入院をさせられていました。

確かにジミンにはトラウマがあり、それによって発作を起こすこともありましたが、負の記憶というのは誰でも持っていることだと思います。

ジミンの親は、彼が抱いている影を受け入れられず、ジミンのことを「病気のせい」ということにしてしまったのです。

 

そういった記載は特にありませんが、元々ジミンの家庭は「明るい世界」に属してたのではないでしょうか。

そうでなくても「明るい世界」に留まっていたいと思うのは当然のことで、トラウマによって「明るい世界」から足を踏み外しそうになっているジミンを、両親は受け入れられなかった。

自分たちの世界を守るために、ジミンの手を離してしまったようにも思えます。

 

正しいもののみに価値を見い出し、間違ったものは認めない。

それは父と母の世界であり、愛と厳格を持っており、模範的な世界。

英語では「教え」ではなくSchoolとなっており「学校」という訳になっていますね。

 

家族が属している世界は人それぞれ違いますが、学校という場所はどの場所も一貫して「模範的で正しい世界」だと考えられます。

片方の世界の象徴のようにすら感じられます。

 

カインとアベル

ここで一つ、デミアンが説いた「カインとアベル」の話をしたいと思います。

カインとアベルは兄弟であり、旧約聖書に登場する有名なアダムとイブの息子です。

カインは農業を営む者になり、アベルは羊飼いになりました。
あるとき2人は、それぞれ神に捧げ物をしますが、カインの畑の作物という捧げ物は神に受け入れられず、アベルの捧げ物である羊の初子は受け入れられました。

それに対し腹を立てるカインに、神は「あなたが良いことをしているのなら、受け入れられる」と言います。

つまり捧げ物に問題があったわけではなく、カイン自身に問題があったということです。

それでもなお逆恨みをしているカインに、神は更に「良いことをしていないのであれば、戸口で罪が待ち伏せている。罪はあなたを恋い慕うが、あなたはそれを治めなければならない」と警告しました。

 

しかしカインは警告を聞きませんでした。

彼は罪の誘惑に負け、不当な怒りの矛先をアベルに向けました。

そうして野原にアベルを呼び出すと、カインはアベルを殺害してしまいます。

これは人類最初の殺人と言われています。

 

その後、神がカインにアベルの居場所を尋ねると、カインは「知りません。私は弟の監視者なのですか?」と返します。

これが人類が初めてついた嘘とされています。

 

大地に血を流したことにより、カインは作物を植えても収穫できないようになり、神によってエデンの東へと追放されます。

追放された地で他の者に殺害されることを恐れたカインに対し、哀れみ深い神は「彼を殺す者には七倍の復讐がある」とし、カインには誰にも殺されないためのカインの刻印を与えました。

 

エデンの東でカインは息子を授かり、カインの子孫は「遊牧民の先祖」「琴や笛を奏でる音楽家の先祖」「製鉄記述者の先祖」となります。

 

カインのしるし

逆恨みで罪のないアベルを殺し、尊ぶべき神に対して嘘を吐いたカイン。

神に背いた人物であることは明白であり、嘘はついてはいけない、殺人は犯してはいけないということを教えています。

 

しかしデミアンがシンクレールに語ったのは、全く違った解釈でした。

 

ぼくたちがおそわるたいていのことは、たしかにほんとで正しい。

だが、どんなことでも先生とは違った見方をすることができる。

たとえば、このカインと額のしるしについても、ぼくたちは与えられる説明ではやはりほんとに満足することはできない。

 

だれかが喧嘩して自分の兄弟を打ち殺すということは、たしかにありうることだ。

彼がそのあと不安になって小さくなるということも、ありうることだ。

だが、その臆病さに対して、彼を保護しすべてのほかの人に恐れをいだかすような記章を持って、彼が特別に表彰されるというのは、なんといっても全く妙なことだ。

 

これに対し、シンクレールは共感し興味を持ちます。

 

 

人々は、自分にぐあいよく自分を正しいとするものを常に好むものだ。 

人々はカインの子供たちに恐れを抱いていた。

そこでカインの子供たちはしるしを持っているということになった。

それで人々はそのしるしを本来のもの、すなわち表彰だと説明しないで、反対的なものだと説明した。

 

(中略)

 

勇気と特色を持っている人々はほかの人々にとって常にすこぶる不気味なものだ。

恐れを知らぬ不気味な一族がそこらをうろついているのは、非常に具合が悪い。

そこで人々は、その一族に対し復讐し、受けた恐怖に対し少しばかり埋め合わせするため、あだ名と作り話を一族にくっつけたのさ。

 

(中略)

 

ほかの弱いものたちはいまはもう不安に満たされ、非常に泣き言を言った。

そして『なぜおまえたちも彼をあっさり打ち殺してしまわないのか』と、きかれると、彼らは『おれたちは臆病者だから』とは答えないで、『それはできない。彼はしるしを持っている。神様は彼にしるしをおつけになった』と言った。

まあ、そういったわけで、作り話が出来上がったに違いない。

 

デミアンは「カインが気高い人間で、アベルが臆病者」だと言い、カインの刻印(しるし)は表彰だと言いました。 

しかしそれは神をけがすものであり、大それた考えでした。

それ以降「カインのしるし」というのは勇気を持った者たちという意味で頻繁に登場します。

それは選ばれた人たちであり、己の殻を割り自己を探求した者たちを指しています。

 

カインとアベル」の話をしたのは、関連があると思われるからです。

片方の世界「父と母、愛と厳格、模範と教え」であり、それ以外は認められませんでした。

しかしデミアンは違いました。

もう片方の世界である「暗い世界」も認めるべきだと言っていたのです。

 

ジミンは医者、そして両親に対し嘘を吐いていました。

樹木園で見た光景をジミンは誰にも言っていませんでした。

本当は覚えていたけれど、忘れたくて、思い出したくなくて「知らない」ということにしてしまっていました。

 

これはカインが神に対し嘘を吐いたシーンと重なり、また「デミアン」でシンクレールが暗い世界に入るきっかけとなったのもクローマーに嘘を語ったからでした。

 

森の絵

では具体的にシーンを見ていきたいと思います。

LIEは霧がかった森の絵から始まります。

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この森の絵はホソクのShort Filmにも出てきます。

そして前回のジョングクのShort Filmにも似た景色が出てきていました。

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初めはジミンのトラウマでもある樹木園かと思ったのですが、そう考えるとホソクとの関連がありません。

似た景色として北欧の景色と似ているようですが、詳細は分かりませんでした。

ホソクとの関連もまだ考察途中で、この絵が何を表しているか現時点では分かりません。

 

診察

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真っ白な部屋で診察のようなものを受けています。

これは精神鑑定ではないかという考察もあります。

個人的には医者に診察を受けているシーンではないかと思います。

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出されたのは「ジョングクの卵」

ジミンはこれに対し、知らないといった素振りをします。

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そんなジミンを目前におかれたビデオカメラが撮影しています。

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ビデオカメラといえば、ソクジンを思い浮かべます。

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ビデオカメラに映っているのは、自分自身の姿。

私はこのビデオカメラはもう一つの眼では無いかと思っています。

つまりこのシーン、ジミンは医者と話しているかのように見えますが、実は自分自身と向き合っているのではないかということです。

Wingsでは反射や反転しているシーンが多いことから、そういった意味でも考えられると思いました。

 

そしてそれを表すかのように、病室のような部屋で踊る反転したジミンの映像が映ります。

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部屋は病室のようですが、服装は診察を受けているジミンと同じ。

別の世界かとも思えましたが、ジミンの過去、もしくは記憶と捉えるのが合っているように思えます。

苦しそうな振り付けが彼の苦悩を表しているようです。

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次に映ったこのシーン、ジミンの影が印象的です。

膝を抱えるように見え、これは花様年華における少し臆病なジミンの姿を連想させます。

RUNの日本語版に似たシーンもありました。

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RUN Japanese ver.

これは文字通り”ジミンの影”であり、もう一人の自分でもあると考えます。

 

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ジョングクの次に出されたのは、ジミンの卵。

それを見てジミンは笑います。

しかしジョングクの卵を見た時のように、明確な反応はしません。

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そしてまた世界は反転します。

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浮き上がる影の全貌。

 

ホソクの存在

ジミンの卵を映してから、場面が一気に変わっていきます。

ビデオカメラの映像シーンが映った後に、反転した映像が映ることから、ビデオカメラはジミンのもう一つの眼であり、それはもう一人のジミンを映していると考えられます。

 

直後のジミンが倒れ、病室が出てくるシーンはビデオカメラに映っている映像だとも考えられます。

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先ほどのシーンと違うのは、ベッドが2つあるということ。

服装も同じ事から、同じ世界線だと思います。

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次にロボットが取り出したのは、ホソクの卵。

それを見たもう一人の世界のジミンは、隣のベッドを見つめます。

この事からも、隣のベッドにいたのはホソクで、ジミンが退院するきっかけとなった彼らの再会を彷彿とさせますね。

 

そしてジョングクの卵は分からなかったにも関わらず、ジミンはホソクの卵のことは分かっているようです。

これはホソクが自分のついていた嘘の真実を、唯一ジミンだけに話しているからでは無いかと思います。

ホソクは自分がナルコレプシーではないということを、ジミンにだけ話していました。

恐らく、この卵はそれぞれの影を表しているのだろうと思います。

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グラスに入った大量のカプセルは、薬によってナルコレプシーを引き起こしていたホソクの姿を思い出させます。

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I NEED U

しかしこのシーン、逆再生になっています。

これについては後ほど書いてみます。

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ホソクがいた方へ手を伸ばしますが、この世界にはジミンしかいません。

 

プルコッ樹木園

次の瞬間、ある看板が映し出されます。

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これはジミンが発作を起こす原因でもある「プルコッ樹木園」の看板です。

この看板は花様年華Noteで、彼らが高校時代に初めて海に行った時、ジミンが見たものでもあります。

 

枕投げと羽

そしてその直後、枕投げのシーンがありジミンのダンスシーンへと移ります。

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この枕投げのシーン、とても見覚えがありますね。

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RUN
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RUN

そして羽が映るシーン。

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RUN

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WINGS Short Film #6 MAMA
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RUN Japanese ver.

基本的に使われているのはRUNのシーンですね。

ナムジュンのシーンを除いて、全てホソクのシーンです。

花様年華Noteや漫画を見返してみても、枕投げや羽に関する内容はありません。

そのためMVからの推測になりますが、枕投げはジミンとホソクの共通の思い出でもあり、羽はホソクと関連していると思われます。

白い羽はスピリチュアル的な意味として「天使の羽」という意味があるそうです。(もしくは天使の守護があること)

今後の考察になりますが、血汗涙ではホソクは天使的な役割を持っていると言われています。

過去のMVでホソクのシーンで羽が何度も使われているのは、そういった意味合いがあるかも知れません。

 

今回における演出としては、枕投げは現世=花様年華での記憶と、やはりホソクの存在を表していると思われます。

 

燃えるピアノ

ジョングクのBEGINでもあったように、ユンギを表していると思われる燃えるピアノが映るシーンがあります。

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これを初めに見た時不思議に思いませんでしたか?

ジミンとユンギは花様年華において、ジョングクほど深い関係ではありませんでした。

二人のエピソードもほぼ無いに等しいです。

しかし、唯一花様年華Noteにこの二人のペアに関する内容がありました。

 

ジミンは病院を退院してから、過去のトラウマを克服しようとプルコッ樹木園に足を運ぼうとします。

しかしいつまで経ってもバス停までしか行けず、どうしようかと思っていた頃、ユンギが現れジミンの隣へと腰掛けました。

そこでジミンはユンギに「一緒に樹木園に行ってくれないか」と頼むのです。

その後、ジミンが樹木園に行けたのかどうかはNoteに書かれていないため分かりません。

しかしジミンのトラウマ克服の手助けとしてユンギが関わったということはわかっています。

 

ユンギとジミンはWINGSにおけるペアだと言われています。

今後二人は同じ・もしくは対の存在として描かれるのではないでしょうか。

 

リンゴ

WINGSのジミンを表すものとして、リンゴがあります。

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リンゴについて花様年華Note、漫画では特にリンゴにまつわるエピソードがないことから、WINGSでの演出と考えています。

リンゴとして真っ先に思い浮かぶのは、アダムとイブがエデンの園を追い出される原因となった禁断の果実でしょうか。

アダムとイブはカインとアベルの両親ですし、最後のジミンがリンゴを食べるシーンはまさしくそれを表しているようにも感じます。

禁断の果実というのは、分かりやすい誘惑です。

ジミンは誘惑の中に落ちた、という風にも考えられますね。

 

そして「デミアン」でシンクレールがクローマーに吐いた嘘も、リンゴにまつわるものでした。

どちらにしても、リンゴは誘惑を表しているように思えます。

 

 

反転した世界

LIEのMVは特に反転した演出が多いように思えます。

花様年華の世界とWINGSの世界で分け時、さらにWINGSの世界でジミンは二つの自分に分かれています。

逆再生されているシーンが分かりやすいです。

 

前後のシーンも交えて、実際に分けてみましょう。

 

逆再生ではないシーン

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燃えるピアノ

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水面に落ちるリンゴ

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森の絵


逆再生(反転)のシーン

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逆再生する薬

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反転した雨

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天へと昇る天井

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巻き戻るバスタブの水


そして最後に水面に落ちるシーンとベッドから起き上がるシーン。

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服装から見てもこの世界は反転している別の世界だと考えられますね。

また冒頭で後ろに倒れるシーンがあったことから、一連に繋がっているようにも思えます。

 

逆再生のシーンは、どれも上へと吸い込まれているように感じますね。

もう一つの世界との境界線も、同様に上にあるように感じます。

FAKE LOVEのMVのジミンも上を見上げているのが個人的には気になります。

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FAKE LOVE

 

LIEの世界としては、この時点で三つに分かれていますね。

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異なる三つの世界

個人的な解釈としては、病室(中央)とバスタブ(右)は互いに侵食する鏡合わせの世界で、それぞれジミンの影を指していると思います。

そして診察室のジミン(左)はそれを隠している現実世界の彼の姿を表しているのではないかと思います。

 

逆再生が起こっているのは、薬、雨、病室、バスタブと花様年華に関連したシーンが多いですね。

過去のMVでも出て来ているものばかりです。

薬や病室については前述で書きましたが、雨はHighlight Reelのシーンを、バスタブはINUやRUNを彷彿とさせます。

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Highlight Reel

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RUN

これらのシーンが逆再生になり反転しているということは、やはり対の世界だと考えられます。
また一方で、逆再生ではないピアノ、リンゴ、森のシーンはいずれもWINGSにおいて意味を持つ重要な部分です。

この世界においては正しいものだと考えられます。

 

上へと昇る天井

天井が上へと昇っていくと、そこは病室では無いということが分かります。

病室ではなくなったのか、元より病室ではなかったのかは分かりませんが、その空間は暗く何もありません。

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そして浮かび上がってくるのは、森の絵の前に立つジミン。

しかし足元は水で満たされています。

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ジミンの周囲を囲むようにある円は、MVの最後に映るジミンの卵

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右上がジミンの卵

ジミンはまだ自身の卵の中にいることが分かります。

まだ殻を破り飛び出していない、ということですね。

足元の水はバスタブの水や雨でしょうか。

そう考えると、後ろの森の絵は「樹木園」を指しているようにも思えます。

これらはジミンのトラウマを表すものなので、彼はまだ過去の記憶に囚われていて、それらが彼の影だとも考えられるでしょう。

 

ジミンは卵の殻を割ったのか

元の診察室へと戻ると、ジミンはリンゴを手にしており、それを齧ります。

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先程にも書いた通り、リンゴを齧るという行為は「嘘をついた」もしくは「誘惑に負けた」ことを表していると考えられます。

診察室のジミンは一貫していますね。

自分の影を知らないと嘘を吐く。

これは花様年華におけるジミンそのものです。

 

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自分の中に閉じ込められ 僕は死んだ

暗転した画面に映るのは「SAVE ME」の歌詞です。

 

直前の卵の殻に閉じ込められているシーンが、とても分かりやすいですね。

 

最後、ジミンは自分に向いていたビデオカメラを、森の絵へと向けます。

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ビデオカメラのレンズは、もう一つの眼。

その眼はようやく「樹木林」を表しているとも取れる森の絵を向きました。

 

デミアン」において、嘘をついたことは主人公が悪の世界に足を踏み入れたきっかけでした。

このことが無ければ、主人公シンクレールは明るい世界だけで生きて行くことができましたが、その一方で自己探求の末に自身の卵の殻を破ることもありえませんでした

ジミンもシンクレールと同様に、医者や両親に嘘をついています。

ビデオカメラを森の絵に向けるのは、彼が過去のトラウマと向き合おうとしているということを表しているのではないでしょうか。

そしてそれが、ジミンが卵の殻を破る術となることでしょう。

 

ジミンが卵の殻を破るには、トラウマを克服し嘘を断ち切ることが必要と思われます。

つまりジョングクの時とは違い、ジミンはまだ殻を破れずにいるということが分かります。

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ジミンの卵は、齧ったリンゴのようにも見えますね。

 

気になる所

まだ考察が仕切れていない気になるシーンを載せておきます。

 

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宙に浮いているんですかね。すごく違和感のある影。

 

服の模様

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なんかに似てる気がしたんですが忘れました。

 

銃声のような音

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ダンスシーンの途中銃声のような音が鳴り、ジミンが左肩を撃たれたような仕草をするのですがよく分かりませんでした。

 

上の◇

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 なんだろうこれは。

 

まとめ

  • LIEは誘惑を断ち切れないジミンが描かれている
  • 誘惑となっているのは、プルコッ樹木園での記憶に嘘を吐き、向き合わないこと
  • 嘘をついているジミンと本当のジミンとが反転している
  • ジミンはトラウマに向き合おうとしている

 

いかがだったでしょうか。

反転のオンパレードで自分でも分からなくなりそうだったので、今回は特に読みにくかったかもしれません。

今後見直して修正していきます。すいません・・・。

 

私が言いたかった事としては、LIEはジミンの内面がよく描かれているなと感じました。

彼の抱える問題が詳しく描写されており、そしてまだ救われていないこともわかります。

ジョングクにとってのユンギのように、ジミンにとってホソクは自分を病院という場所から救ってくれた光のような存在でした。

何度もホソクに関連したシーンが出てくるのは、ジミンがホソクに救いを求めているようにも思えます。

しかし本当の意味で救われるには、ジミンは自分に向き合わなくてはいけません。

そしてその手助けをするのが、ユンギだったんですね。

 

次回はStigmaの考察です。

 

dddona.hatenablog.com