㉑花様年華 考察<契約と悪夢①>
※以下、花様年華Note・漫画 花様年華<SAVE ME>ネタバレ注意
こんにちは、OILKINGです。
本当はFilm Outの考察を考えていたはずだったのですが、NOTE 2でいいところまで小出しにされた猫との契約、そして悪夢、つまりジョングクとテヒョンについてを先に考えたいと思い、今回はそれについての内容になります。
それでもってすごく長くなってしまったので、こちらは前編(多分)になります。
つまり途中で終わります!すいません!
正直花様年華THE NOTES 2の小説を読んでいないと「は?」の応酬だと思います😂
多少は補完していきますが、足りない部分があったらすいません!
そして今回もNOTES 2の盛大ネタバレ祭りです。注意!
参考までに楽しんでいただけると嬉しいです。
ご注意ください!
目次
ソクジンの契約
では早速ですが、まず一番に触れていきたいのが、猫との契約についてです。
ソクジンがタイムリープをするきっかけとなった生物ですね。
LINE漫画では狐っぽい生物だった気がするのですが、BUでは猫でした。
いや、やっぱり猫にしてはしっぽデカいかもしれない。
(見直してみる)
めっちゃにゃ〜お言うてた。
私の中では猫ということになりました、今この瞬間に。
実はこの猫はTXTのMVにも出てきているそうです。
BTSのMVにはこの猫は出ておらずUniverse Storyの動画にのみ登場しています。
TXTにおける猫の意味については専門外なので
一旦気づかなかったことにします
(今度また調べてみます)
NOTES2でタイムリープが”契約”と書かれていたので、ソクジンは仲間を救うために猫とタイムリープの契約をしたということになります。
そしてタイムリープを繰り返していくうちに、突然”魂の地図”という言葉がソクジンの口から語られるようになりました。
ソクジンは「魂の地図を見つければ全てを終わらせることができると言われた」と言っていました。
そのシーンについてNOTEの中で記載はありませんでしたが、BTS Universe Storyの動画の中にそれだと思われるシーンがありました。
↑この動画です!
”こんにちは、久しぶり”
”ナムジュンを助ける方法を教えて”
”魂の地図を探して”
”そうすれば、この全てを終わらせることができるだろう”
”魂の地図?”
”それは何?”
”それには代償がいる”
ソクジンがタイムリープが終わったと思った矢先、ナムジュンの火災事故が起こりました。
コンテナの火災事故は元はと言えば、国会議員であるソクジンの父が推し進めているソンジュ市の再開発が原因でした。
再開発のためにはコンテナ街に住んでいる住民たちを強制退去させる必要があったのです。(コンテナ街に住んでいる人たちは家がないため退去を宣告しても動かなかった)
その強制退去の方法が、なんと放火でした。
ナムジュンは同じコンテナ街に住むウチャンという子供を守るため、火の中に飛び込み亡くなってしまう。
それがソクジンが何度やってもうまくいかないループでした。
放火が起こる原因は再開発にあります。
そのため、ソクジンが再開発を止めなければナムジュンの死は続いてしまう。
(再開発はソクジンがタイムリープする前から決まっていたでしょうし、ナムジュンに起こる不幸は”拘置所に入ること”ではなく”コンテナ火災事故によって命を落とすこと”だったのかもしれません)
しかしソクジンの父は、再開発からコンテナ街を外して欲しいというソクジンの言葉に全く取り入ってくれませんでした。
ソクジンも父が聞いてくれるとは思っていないため、一度しかその頼みはしなかったようです。
”ナムジュンを救えさえすれば、タイムリープが終わるハズなのに・・・”
ソクジンはそう思い、猫に再度助けを求めたのかもしれません。
それにしてもこの猫、、、
ソクジン「魂の地図?それは何?」
猫「それには代償がいる」
おい、無視か?
(ありがとう、ジョングク)
ひとつ疑問なのが、ナムジュンを助けるには魂の地図を見つけるしかなかったってことなのかな?
何度タイムリープしても意味がないってことだよね?
魂の地図を見つけるには代償がいる…それは記憶を失うことで…?
魂の地図は1人のミスや過ち失敗と成功の軌跡であり、自身を許し、理解し、愛すること。
でも結局ソクジンは自分の記憶を失ってしまい、自分の過ちを許すどころかみんなとの楽しかった日々も忘れてしまっていた。
テヒョンが悪夢を見てソクジンに手を差し伸べなければ、ソクジンは魂の地図を見つけることはできなかったでしょう。
タイムリープを終える方法が”タイムリープで未来を変え、皆を救うこと”から”魂の地図を見つけること”に変わってから、ソクジンは冷たく表情を無くしてしまいましたし。。
猫がテヒョンに悪夢を見させ、ソクジンのタイムリープで7人を救おうとしているのか、はたまたソクジンを無限ループに追い込もうとしていたのか・・・?というのが個人的に疑問ではある。
ソクジンが猫と契約して得たタイムリープですが、ソクジンは自分の意思でタイムリープを起こすことはできません。
間違った選択をするとガラスの割れる音と共に、時が勝手に戻ってしまいます。
運命が正しいのか間違っているのか、その判断はソクジン自身にもありません。
テヒョンは『兄さんは俺たちを助けてくれているのか。あるいは、俺たちを特定の未来に追い込んでいるのだろうか』と言っていますが、ソクジンもまた”タイムリープが起こらない未来”を選択しているに過ぎず、特定の未来に導かされている可能性もあると感じました。
ソクジンと猫の契約についてまとめてみます。
- タイムリープが可能になる
- ただしソクジンが故意にタイムリープを起こすことはできない
- 魂の地図を見つけることが出来れば全てを終わらせることができる(タイムリープが終わる?)
- 魂の地図には大切な記憶を失うという代償がいる
- ソクジンは二度猫と会っている
【LINE漫画で猫が言った言葉】
『時間を巻き戻すことができたら、あらゆる失敗と過ちを正してみんなを救えると思うかい?』
──1回目のタイムリープ後、記憶を思い出せないまま2回目のタイムリープ──
『来るのが遅かったかな』
『もしかしたら私が探していたのは君だったかもしれないのに』
『すでに契約を済ませたのなら、目を開いてしっかり見ろ』
『これが君が生きていくべき世界、君が切り抜けるべき運命だ』
『すでにもつれてしまった運命から1人で抜け出すことはできないだろう。ループを記憶する方法を教えてやる。目を開くと…』
↑オレンジ色の言葉に対しソクジンは「あの時とは違う声だった」と言っている。
青とオレンジの言葉はそれぞれ話している主が違う可能性がある?
【NOTEで猫が言った言葉】
『魂の地図を探せ。そうすれば全てを終わらせることができる』
『手がかりを与えてやったから、その代償を払わなければならない』
これは青とオレンジ、どちらのセリフなのか?
どうして声が違ったのか?
疑問点を洗い出したところで、次はジョングクについて。
ジョングクの契約
一番まとめたかったのはジョングクについてです。
フラグをたくさん立てていたジョングクさん。
ソクジンのタイムリープは仲間が死んだ時、不幸が起きた時、そして彼女が車に轢かれた時などに起こりました。
しかし文中でソクジンは「どうしても起こってしまう不幸はあるようだ」と言っていました。
例えば、ホソクがナルコレプシーで倒れること。
ホソクが倒れなければジミンと病院で再会することはできす、ジミンを病院の外に連れ出すことができたのはホソクだからできたことです。
そしてユンギの自殺未遂もそうです。
LINE漫画ではソクジンがユンギを放火から助けますが、病院でユンギにこう言われました。
俺マジで死んだんだ。これで助かったって思いました。地獄よりもっと地獄みたいな現実から抜け出してやっと楽になれるって思いました。どうしてですか?放っといてくれればよかったのに。
ソクジンにはユンギの抱えている痛みを推し量ることはできませんでした。
死のうとしているユンギを火事から助けても、ユンギは本当の意味で救われていないからです。
ソクジンはユンギを救うためにジョングクを意図的にユンギの元へと向かわせました。
結局、火の中からユンギを救うと言う方法がソクジンの中では正しい選択肢となりました。
ユンギの自殺未遂は起こってしまうものだったというわけです。
そしてまた、ユンギを救うことができるのもジョングクがいたからです。
こうしてどうしても起こってしまう不幸というのはあるようですが、どれも今後意味のある行為だったと言うことがわかります。
さて、NOTES 2のソクジンの日記に気になる文章がありました。
ホソクは今頃になってジョングクの交通事故を知ったようだった。あまり重要なことではなかった。僕も最初は事故を防ごうとした。いつ、どこで事故が起こるのか、どうすれば止められるのか悩んだりもした。
そのうち悟ることになった。ジョングクの事故はループとは何の関係もなかった。誰にでも起こりうる、そんな事故だった。放っておけば傷は治り、全ては元通りになる。傷跡や障害が残るとしても、それはジョングクが自分でどうにかするべき問題だ。死ぬほどの事故だとしても、それはまたどうしようもないことだった。
ジョングクの事故による怪我は、医者が「意識が戻ったのが奇跡」というレベル。
それが毎回必ず起こってしまうにも関わらず、ソクジンのタイムリープとは関係がない?
なんで?😀
ジョングクの交通事故についてまとめてみます。
ジョングクの交通事故
ジョングクが交通事故に遭うことは、ソクジンのループには全くの関係がないもの。
しかし毎回起こってしまうこと。
過去のMVでもジョングクの交通事故を思わせるシーンが何度か出てきていました。
特にこのRUNのシーンはソクジンの視点だとも考えられます。
ジョングクが初めて事故に遭ったのは、花様年華THE NOTE 1に書かれてる5月22日。
テヒョンが事件を起こす直前にホソクが駆けつけ、初めてまた皆で海に行くことができましたが、ソクジンのせいでユンギが退学になったことを知っていたテヒョンが皆の前でそれを暴露してしまいます。
テヒョンは悪夢を見ていて、それをソクジンに聞いたのにも関わらずはぐらかされたことや、ナムジュンの電話を聞いてしまい裏切られたような気分になっていました。
詳しくはこの記事に書いています。
出ていったテヒョンをソクジンが探しに行き、ナムジュンも出ていってしまった後、残された4人も帰ることになります。その時、ジョングクは兄たちを置いて先に行ってしまいます。
ジョングクが事故に遭ったのはこの時です。
おそらくですが、何度ループをしてもこの日にジョングクは事故に遭うようです。
一度目の交通事故
ジョングク 22年5月22日
意識が乱れる中、次第に周りが暖かくなると急に全身が発作的に揺れた。どこだか特定できない痛みと渇きの中で、無意識のうちに目を開けた。砂がいっぱい入ったかのように、ざらざらとした瞳の奥で何かがちらついていた。明かりかと思ったが、そうではなかった。明るくて大きくて、かすんでいた。それは身じろぎもせず、虚空に浮かんでいた。しばらく見ていると、それは次第に確かな形を帯びていった。月だった。頭が後ろに折れ曲がったのか、世界が逆さまだった。その世界に月も逆さまにかかっていた。咳をして息をしようとしたが、動かなかった。寒気を感じた。怖かった。口をしきりに動かしたが、全く声が出てこなかった。目を閉じていないのに、前がだんだん暗くなった。遠ざかる意識の中で誰かが話しかけた。『生きるのは死ぬより苦しいよね、それでも生きたいの?』
『生きるのは死ぬより苦しいよね、それでも生きたいの?』
この言葉は誰に言われたものなのか。
ループ後の事故後、ジョングクの日記にこんな記述があります。
次の瞬間、僕はベッドで寝ていた。事故があった夜の夢を見た。ヘッドライトは月になり、突然緑と青の玉のような光に変わった。そして目を開けると、天井の下にもう一人の僕が浮かんでいた。空中の僕と一瞬目が合った。
緑と青の玉?
一体誰なんだ!?!?
茶番はやめにして、どう考えてもこの猫さんしかいないですね。(この話前もしてたかもしれません)
ソクジンだけでなくジョングクもこの猫とエンカウントしているみたいです。
なんとなく察していましたが、ソクジンとは出会い方が大きく違います。
この猫と出会ったことを考えると、ジョングクもソクジン同様”何か”の力を貰っている可能性が高いです。
しかし個人的にはソクジンと同じ「タイムリープ」だとは思えません。
ジョングクはソクジンとは違い”自分が4月の時点で落下事故で死んでいた”ということも、他の兄たちがどうなっていたかということも知らないからです。(※ジョングクは自殺目的で屋上に行ったわけではなく、衝動的だったと考えられるため)
そしてまた、ソクジンが皆にタイムリープの話をした時も、ジョングクだけがそれを信じませんでした。
笑い声が出た。こんなありえない話があるか?ソクジン兄さんの話が始まってほどなく、兄さんたちは全てを理解したという顔をした。なにがわかったというんだろう?
ソクジン兄さんは高校の時から自分たちを騙した。ユンギ兄さんが退学になったのはソクジン兄さんのせいなのに、すまないという一言で取り繕った。僕たちのために何をしたというのか、ソクジン兄さんはわけのわからない話を並べた。それでも兄さんたちは怒ったり質問したりもせず、その話を全部受け入れた。
(中略)
ソクジン兄さんは、最後まで話さなかった。父の不正を大した良心の持ち主でもあるかのように大げさに話しておきながら、あの夜の自動車事故については一言も言わなかった。
正直、タイムリープの話を聞いた反応としては信じられないジョングクの反応も正しい気がしますが、ジョングク以外の5人にはまるで実際に経験したかのようにソクジンのタイムリープを感じることができました。
この話についてはあとでまた詳しく書こうかと思いますが、ジョングク1人だけこの体験ができなかったと思われます。
そのため、ジョングクにとっては嘘つきの兄さんが意味のわからないことを言い、兄たちが集団で自分を騙していると感じてしまったようです。
どうしてこうなった・・・?
ジョングクが見たもの
ジョングクは交通事故にあった最中、そして事故後目が覚めるまでの間、そしてその後もずっとある悪夢をみています。
ジョングク 22年6月13日(1度目の交通事故)
僕は10日ぶりに意識が戻り、驚くほど早い回復を見せた。
(中略)
病院で目を覚ました時、真っ先に思い浮かんだのは兄さんたちだった。誰かに連絡できたとしたら、おそらく兄さんたちにしていただろう。最初は痛みで何もできなかった。鎮痛剤が強すぎて現実と夢と記憶と妄想が入り乱れ、何一つまともに区別できない時もあった。
耐え難い痛みは、ようやく治った。しかし熱と不眠にうなされながら見た不思議な場面は、なかなか消えなかった。それらは本当に起きたことなのか、痛みのせいでよじれた悪夢なのかも確かではなかった。自分の記憶は信じられなかった。それでも兄さんたちに連絡できなかった。何の話をどこから、どう切り出したらいいかもわからなかった。
ジョングク 22年6月15日
不思議な夢を見た気がするが、はっきり覚えていなかった。交通事故が起きた日の夜のことが、防犯カメラの揺れる白黒画面のように再現されたかと思えば、心臓の鼓動が遅くなっては急に爆発したように高鳴り出すのが、目に見えるように生々しく感じられた。すると、いきなり痛みに襲われ、誰かの囁き声が聞こえた。次の瞬間、僕はもがきながら目を覚ました。
ジョングクは自分が寝ている間に見た不思議な場面を悪夢とも表現しています。
そしていつかのテヒョン同様、あまりにリアルで現実なのか夢なのかが分からない。
そして”誰かの囁き”は『生きるのは死ぬより苦しいよね、それでも生きたいの?』という猫の言葉でしょう。
全体的に記憶や夢の内容がはっきりとしていないことが分かります。
ホソク 22年7月16日
スケッチブックに描かれた絵をめくってみた。倉庫の教室、トンネル、海を背景に僕たちが一緒にいる姿、アスファルトに1人で横になっているジョングク、道路に沿って流れている血、夜空に浮かんだとても大きな月。
(中略)
「あの、兄さん。あの日の夜のことですけど」
エレベーターを降りて病院の玄関に向かう途中、ジョングクが口を開いた。視線は玄関の外のどこかを向いていた。何かを見ているようではなかった。それよりは記憶の中で何かを探そうとしているように視線を固定させたまま、まばたきをするだけだった。
「ソクジン兄さんから、あの日の夜について何か聞いてませんか?つまり僕が言いたいのは、ソクジン兄さんが僕を見たとか……」
ジョングクはそこで話をやめ、口をつぐんだ。
「ソクジン兄さんがお前を?どこで?」
僕が聞いたが、ジョングクは口を開かなかった。
「兄さんはいい人ですよね?」
玄関を出た後、別れ際にジョングクが聞いた。
「何、言ってるんだ」
僕は悪戯っぽく肩をぽんと叩くと、手を振った。
この時点で、ジョングクはソクジンが事故現場にいた(見ていた)という悪夢を見ている。
ジョングク 22年8月30日
久しぶりに兄さんたちに会うのだが、うれしさや期待よりも先に、少し複雑な気持ちだった。事故が起きた日の記憶が何度も浮かんだ。
(中略)
プラットフォームを降りて線路を横切ると、ユンギ兄さんが現れた。いつものゆっくりとした足取りで地面を見ながら歩いていた兄さんが、ふと振り返った。誰かに呼ばれたようだった。後ろで、両手いっぱいに何かを持って立っているのはホソク兄さんだった。
さらに複雑な気持ちになった。確かにうれしかった。それなのに、手放しで喜んでばかりはいられなかった。僕は兄さんたちが、そして、こんなふうに一緒に過ごす時間がどれほど好きだったことか。このまま帰ろうかと思った。
ジョングクが事故時に見たもの
- 明るくて大きくて、かすんでいた。それは身じろぎもせず、虚空に浮かんでいた。月だった。頭が後ろに折れ曲がったのか、世界が逆さまだった。その世界に月も逆さまにかかっていた
- 『生きるのは死ぬより苦しいよね、それでも生きたいの?』
ジョングクが夢の中で見たもの
- 交通事故が起きた日の夜のことが、防犯カメラの揺れる白黒画面のように再現された
- 誰かの囁き声が聞こえた
- 倉庫の教室、トンネル、海を背景に僕たちが一緒にいる姿、アスファルトに1人で横になっているジョングク、道路に沿って流れている血、夜空に浮かんだとても大きな月
- ソクジンが事故現場にいたかもしれない?
1度目の交通事故の時点では、ジョングクはまだ「もしかしてソクジン兄さんが?」の「も」の字もないように感じます。
ジョングク自身、なにが正しいのかまだわかっていないのかもしれません。
兄さんたちを疑う理由はないけれど、夢の光景が何度も蘇って楽しかったはずの兄さんたちとの時間に複雑な感情になる。
ジョングクの中で葛藤しているようにも感じます。
ではループ後はどうか。
ジョングク 22年6月13日(ループ後)
それから、こんな夢を見た。空中に浮かんだまま病室を見下ろしていると、病室のベッドにもう1人の僕が横たわっていた。ベッドにいる僕は眠っているようだった。何かの夢を見ているのか眼球が忙しなく動き、そして何の前触れもなくぱちりと目を開けた。その瞬間、目が合った。
次の瞬間、僕はベッドで寝ていた。事故があった夜の夢を見た。ヘッドライトは月になり、突然緑と青の玉のような光に変わった。そして目を開けると、天井の下にもう一人の僕が浮かんでいた。空中の僕と一瞬目が合った。二つの視線が交差し、二つの意識が逆転した。僕は空中に浮かぶ自分だったり、ベッドに寝ている自分だったりを繰り返した。逆転と交差のスピードは次第に速くなった。目眩と吐き気がした。
そこで目が覚めた。汗をかき、息が荒かった。吐きそうだった。ふとその時まで忘れていたことを思い出した。誰かの声。『生きるのは死ぬよりも苦しいよね』
(中略)
警察は防犯カメラに映った事故の映像を見せてくれた。映像の中で僕は車とぶつかり、一瞬宙に浮いて地面にたたきつけられた。車は画面の外に消え、止まっているのか赤いテールランプの光がかすかに映っていた。数秒たつと、光が消えた。
警察は事故を起こした車が僕をひいた後、ガードレールと衝突したようだと言った。そしてこう聞いた。覚えていることはないかと。たぶん、その瞬間だったと思う。あの声が再び聞こえた。『生きるのは死ぬより苦しいよね』
そしてその日の夜、状況が頭の中で再生された。僕に向かって疾走してきたヘッドライトの光、空中に跳ね上げられながら見た車の形、アスファルトとぶつかる時の衝撃、遠ざかるブレーキランプ。警察官が聞いた。「大丈夫ですか。何か覚えていますか?」僕は警察官の顔を見た。あれは、ソクジン兄さんの車だった。「ささいなことでもいいですから、話してください」警察官がもう一回言った。僕は首を振った。「ないです、ただ頭が痛くて」
前回のループと比べ、事故時や悪夢の内容が詳細になっています。
『生きるのは死ぬより苦しいよね』も覚えていますね。
時系列としてはさっき書いた1度目のループから、かなりの時間が経っていると思います。
(この時のソクジンはもうすでに冷たかったので)
そして前回も悪夢の影響からかソクジンについて気になっている様子ではありましたが、今回のようにジョングクが警察官に犯人について聞いている描写はなかった。
書き起こした部分だけ先に載せますね。
ジョングク 22年6月20日
ひき逃げ事件の目撃者が現れたと。大した情報ではなかった。事故を起こした車は外車で、運転していたのは20代初めから半ばくらいの若い男らしかった。刑事は何か覚えていることはないかと聞いた。僕はないと答えた。嘘だった。
(中略)
「ソクジン兄さんは?」適当なタイミングを選んで聞いた。「あ、ソクジン兄さんか?」ホソク兄さんは学生時代も今も、感情を隠すのが下手だった。「ソクジン兄さんに何かあったんでしょう?」「い、いや」兄さんは顔を赤くして視線をそらした。
その瞬間、ホソク兄さんも知っているのではないかと思った。ソクジン兄さんが交通事故に関係しているということを。初めて兄さんが病院に見舞いに来た時のことを思い出してみた。あの時も兄さんは何か知っていたようだった。「どこかい痛いのか?看護師呼ぶか?」ホソク兄さんが驚いた声で言った。知らないうちに俺は頭を抱えていた。
ジョングク 22年7月20日
数日後には退院だった。あまり眠れなかった。警察が見せてくれた防犯カメラの映像、連絡が取れなくなった目撃者、突然はぐらかして背を向ける兄さんたち。絶え間なく浮かぶ考えを振り払い、くたびれるまで歩いた。気がつくと、目の前に鉄のドアが見えた。いつの間にか非常階段を最上階まで上がっていた。ドアを開けて屋上に出た。
(中略)
手すりから降りた。冷や汗をかいていた。どうして突然手すりの上に上がったのか、わからなかった。もし落ちて死んだら。手すりの向こうにソンジュの夜景が見えた。そう簡単に死ぬもんか。その光に向かってつぶやいた。
誰かが必ず死ななければならないとしても、僕はその人にはならない。
ジョングク 22年7月22日
目撃者がいるという話を聞いてから1ヶ月が過ぎたが、目撃者は名乗り出なかった。「よくある事です。実際、面倒じゃないですか」警察官は言った。
(中略)
体を起こして窓の外を眺めた。目を閉じると防犯カメラの画面とあの夜の記憶が妙に交差しながら繰り返された。事故の場面が別の角度から見えた。角度が変わるにつれて、ぼんやりとしていた車の姿はだんだんソクジン兄さんの車の形になった。おぼろげだった運転手の顔も同じだった。僕は今、事実を見ているのだろうか。もしくは疑っていることをその通りに見ているのだろうか。自分でもわからなかった。
(中略)
兄さんたちは、どうして僕に嘘をついたのだろうか?ここに何をしに来たんだろう?もしかして、今日警察が来たことと関係があるんだろうか?見つかっていない目撃者とも……? 警察の言葉を繰り返してみた。目撃者からの通報は三回あったが、全て公衆電話からかけられていたそうだ。初めは焦った声で電話をかけてきたが、だんだん思い出せないとかはっきりしないと、自分の話を翻す様子を見せたという。もしかすると、その目撃者が兄さんのうちのどちらかなのだろうか。
この辺りからジョングクがソクジン以外の兄たちに対しても疑念を抱き始めている。
ジョングク 22年7月24日
車は少しバックした後、向きを横に変えた。コンテナから漏れる光がソクジン兄さんの車を照らした。バンパーに残る事故の痕跡が少しの間見え、闇に埋もれた。それをみても、おかしなことに何も感じなかった。大したショックも受けず、怒りが湧くこともなかった。事実を受け止め難いこともなかった。全てがあまりに明瞭になった。
闇に消えるソクジン兄さんの車の上に、あの日の夜僕に向かって近づいてきたヘッドライトの光が重なった。体がふわりと浮かんだ感触、唾を飲み込むことも息をすることもできなかった瞬間、突然全身が発作的にけいれんした時の恐ろしさ。意識が薄れる中で感じた耐えられない寒気。死の影。その瞬間に見た車のバンパーの事故の跡。
ジョングク 22年8月2日
本当にソクジン兄さんだったのだろうか?皆も知っているのだろうか?ありえない疑念だと思っていたことがだんだん現実になっていった。バンパーがゆがんだソクジン兄さんの車。僕に嘘をつく兄さんたち。こんなことを考えていると、いつしかノートの1ページが真っ黒に埋め尽くされていた。
(中略)
なにげなく窓の外に顔を向けた時だった。校門に入ってくる皆の姿が見えた。暗い中のシルエットだったが、全員を見分けることができた。一番前にナムジュン兄さんがいて、ジミン兄さんとテヒョン兄さん、ユンギ兄さん、ホソク兄さん、その横にソクジン兄さんが歩いていた。
ソクジン兄さんがどんな人か知っているくせに。皆が僕をだまして嘘をついていた。ノートの上でペンを持つ手に力が入った。
これが最後ではないのですが、ひとまずここまででまとめてみます。
悪夢の内容も「逆さまになった月」というものから変わっていますね。
そしてジョングクはどんどん”現実なのか夢なのか、事実なのか想像を見ているのか”という区別がつかなくなっている印象です。
というより、誰にも分からない状況ですね。
そのため寝ている間に見た夢と書かれていない部分は不確定要素としてまとめます。
ループ後の悪夢
- 空中に浮かび病室のベッドに寝ている自分を見ていた。眠っている自分は何かの夢を見ているのか眼球が忙しなく動き、何の前触れもなくぱちりと目を開け、目が合った
- ヘッドライトが月になり、突然緑と青の玉のような光に変わる。目を開けると、天井の下にもう一人の自分が浮かんでおり、空中の僕と一瞬目が合った。二つの視線が交差し、二つの意識が逆転した
- 『生きるのは死ぬよりも苦しいよね』
現実?想像?
- 自分に向かって疾走してきたヘッドライトの光、空中に跳ね上げられながら見た車の形、アスファルトとぶつかる時の衝撃、遠ざかるブレーキランプ、それはソクジンの車だった
- 目を閉じると防犯カメラの画面とあの夜の記憶が妙に交差しながら繰り返された。事故の場面が別の角度から見え、角度が変わるにつれて、ぼんやりとしていた車の姿はだんだんソクジン兄さんの車の形になった。おぼろげだった運転手の顔も同じだった
- 意識が薄れる瞬間に見た車のバンパーの事故の跡とソクジンの車についていた跡が同じ
お〜〜〜いどうなってんだ。この世界マジおかしいぜ。(訳分からなくなった人)
とりあえず、めちゃくちゃ長いので一旦ここで区切ろうかと思います。
嘘だろ全然Film Outに行けなかったぞ。嘘だろ。。。
次回私がやりたいこと
- もう1人の自分=二つの世界についての考察
- ソクジンの行動と事故の関係性整理
- ジョングクの能力考察
- テヒョンの悪夢とジョングクの悪夢比較、考察
- 砂嵐についての話
- 父のループの結果と関連性考察
- あの猫なにがしたいんでしょうか〜探してるって何が?編〜
- 多分忘れているその他
ほとんど書き起こしですが長々と書いてしまってすいません。
きっとどこかの誰かが既に考えて答えを出しているだろうと思いますが、ひとまず自分の中で答えが出るまで考えてしまうものですね;o;笑
今回、途中になってしまって申し訳ないです!
描き終わるまで待つとすごく時間がかかりそうだったのと、字数がえぐくなりそうだったので分けることにしました。
コメントや購読などありがとうございます。
オモロ花様年華のきっかけになれば幸いです。
最後に気になった部分。
ヘッドライトは月になり、突然緑と青の玉のような光に変わった。