⑥花様年華 考察<INU・RUN日本語版>
※以下、花様年華Note・漫画 花様年華<SAVE ME>ネタバレ注意
前回、前々回でINUとRUNのMVの考察をしたので、ここで日本版MVも軽く書いていきたいと思います。
日本版のMVはダンスシーンが中心でもあるため、補足程度になります。
目次
I NEED U (Japanese.ver)について
韓国版と日本版のMVはガラッと変わっています。ダンスシーンが主体となっているのですが、所々韓国版には無いシーンも入っています。
その中からポイントとなるシーンを見ていきたいと思います。
ナムジュンのシーン
まずナムジュンのシーンです。
壁に掛かっているのは鏡のようにも思えますが、窓にも見えます。
そして、何かがついた手でその窓に書かれた文字を塗り消しています。
この行動には少し覚えがあります。
ナムジュンは田舎に引越しをする最後の日、皆で過ごしたアジト(倉庫の教室)の窓に息を吹きかけ、指でメッセージを残しました。
それが「生き残らなければない。」です。
ナムジュンはそのメッセージだけを残し、6人には何も告げずに学校を辞め、街を去りました。
このメッセージを塗り消していることは、具体的に何を表しているのか断定することは難しいですが、彼が生き残ることをやめたという風にも感じます。
ホソクのシーン
続いてホソクのシーンです。
ホソクのシーンでは、韓国版と似た演出になっています。
彼の足元には薬があり、とても苦しそうな表情を見せています。
これは、韓国版のMVと同じ解釈でいいかと思います。
百合の花
そして、このMVでキーとなってくるのが百合の花です。
日本版ではたくさん百合の花が出てきます。百合の花はジンのタイムリープを象徴するものでもあり、同時に6人の命を証明するものでもあります。
それを踏まえて見ていきます。
まず分かりやすいのがユンギですね。ユンギの部屋には大きな百合の絵(写真)があります。
そしてテヒョン。テヒョンは振り返り百合の花を投げます。
ジミンはバスタブに浮いた百合の花を持ち上げていますね。
そしてジョングク。
ジョングクは花に囲まれた通路のような部屋で、手に持っていた百合に火をつけます。
そして、ジン。
ジンのベッドの周りにはたくさんの百合の花びらがあります。
ジンの周囲にある百合の花びらは、ジンが繰り返した彼らの幾つもの過去であるとも考えられます。
そして、ジョングクが百合に火をつけたことを皮切りに、ユンギの部屋にある百合は燃え、テヒョン、ジョングクへと切り替わります。
ジョングクの百合に火をつける行為は、自らの命を燃やすことを意味しているように思えます。
つまり、自ら命を絶つことを示しているのではないでしょうか。
そしてそのジョングクの死を皮切りに、ユンギの百合が燃えていきます。
燃えるのは、彼が火事で亡くなるからです。そしてその理由の中に、少なからずジョングクの生死は関わっていたのではないでしょうか。
そしてテヒョンとジョングクは、たくさんの花に囲まれていますね。
これも何かを意味しているかと思います。
テヒョンが花びらを投げる行為は、prologueで彼が海辺の展望台から飛び降りるシーンも連想させますし、それが原因で亡くなったのではないかとも推測出来ます。
そして死者には花を手向けることから、最後のテヒョンとジョングクのシーンは2人が亡くなったことを表しているのかもしれません。
特に白い百合は、キリスト教や仏教の葬儀に飾られたり献花される為、死を連想する花でもあります。
そして特に意味があると考えられるのが、韓国版と違いジン以外も百合の花を持っているということです。
ですが、1度も出てこない人もいます。
それがホソクとナムジュンです。
では何故出てこないのか。
これは推測になりますが、ホソクとナムジュンは今の所亡くなったという過去は書かれていません。
ホソクも階段から転落しますが、亡くなったとは書かれていないことから無事生きている可能性が高いです。
そのため、MV中に百合が出てくる人物は亡くなっているのではないかと考えられます。
そして、最後のジンのシーンですね。
彼の周囲にあるたくさんの百合の花びら。
それが1枚、ふわりと天に浮いていきます。
天に向かって飛んでいくことから、これもまた死を連想することが出来ますね。
このMVの中で具体的な行動をしたのはジョングクのみな為、もしかするとこの花びらはジョングクを表しているのかもしれません。
では続いてRUNの日本語版です。
RUN (Japanese.ver)について
それぞれの部屋
RUNではそれぞれが何かの部屋の中にいます。
ナムジュンは電話ボックスの中。
電話に出ることが出来ず、その後絶望したように項垂れています。
このシーンについては後で詳しく書きますが、RUNのMVはペアでのシーンが色濃く演出されており、ナムジュンとテヒョンが交互に出てくるためやはりペアが関係していると思われます。
そしてテヒョンが居るのは壁一面に落書きがされている部屋です。
実際にテヒョンが描いたグラフィティであると思われます。
このMV中のテヒョンは、びっくりするくらい悪い顔をしますね。
続いてユンギとジョングクです。ユンギの部屋の床には無数の割れた鏡が散乱しています。
それとは逆に、ジョングクの部屋には何も無いように思えます。
ただ、2人の部屋の壁の模様は少し似ているようにも感じます。
ナムジュンとテヒョン同様、ユンギとジョングクも交互に映し出されるシーンがあります。
そしてジミンとホソク。2人も壁が同じことから、同じ部屋に居ることがわかります。
ただし、ジミンの部屋には大きな水槽があり、ジミンもその中に居ますね。
そしてホソクの部屋には大量の羽。思い付くのは韓国版RUNのMVでの枕投げのシーンでしょうか。
ジミンと2人で投げ合っていたシーンもあったため、それが描かれていると思われます。(逆にそれ以外に思いつく所がありません。)
そして最後にジンです。
なんとジンがいるのはテヒョンと同じ部屋です。グラフィティはないものの、壁に映る光からテヒョン同様床に水が張られているように見えます。
これまでペアで同じ風景が多かったですが、何故かジンとテヒョンが同じ部屋にいるんですよね。
なにか意味がある気もしますが.......。
ユンギとジョングク
ではまずこの2人について具体的なシーンを見ていきましょう。
ユンギは床一面割れたガラスの部屋に居ます。
そこから思いつくのは、韓国版のMVでユンギが椅子を投げ鏡を割るシーンですね。
このシーンはほぼ間違いなく関係しているかと思います。
ユンギを助けようとするジョングクに対し、ユンギはそれを拒み喧嘩になります。
そして割れたガラスをきっかけに、部屋の中には誰もいなくなってしまいます。
そして気になるシーンがここです。
落ちた鏡の破片を手にしたユンギ。
そして今までずっと正面を向いていたジョングクが、急に顔を背けます。
その途端に、ユンギの手のひらから破片が零れ落ちました。
前回のRUNのMV考察で、繰り返しの途中、ジョングクがユンギを見限ることもあった、と書きました。
このシーンはそれを表しているのではないでしょうか。
その後のシーンも見てみてみると、ジョングクは以前より険しい顔になり、薔薇を手で握り潰し、それを床にパラパラと落としていきます。
早すぎて何を握ったのかよく分からないのですが、薔薇なのです。
皆さんはこれ何色に見えますか?
私はじめ光の加減で白かなと思ったのですが、青い薔薇の意見が多いようなので、そちらでも考えてみました。
青い薔薇
青い薔薇の花言葉は「夢叶う」です。本来は存在しない色のため以前は「不可能」の象徴でもありました。
ジョングクが青い薔薇を握り潰すことは、夢が叶わなかったという事を示しているかもしれません。
ハッキリとジョングクの夢が何なのか語られた場面はありませんが、高校生の兄達と初めて行った海で彼等はそれぞれ工事音に紛れてそれぞれの夢を叫びました。
そしてそこで、ユンギと夢について話すのです。
その事から、夢が叶わず薔薇を握り潰したとも考えられます。
そして色々な考察の中で、韓国版RUNのMVでユンギが鏡を割る直前に映る花が、青い薔薇ではないかと言われています。
どうでしょうか?薔薇のようにも見えますが、私はスメラルドではないかと思います。
スメラルドは架空の花で、花言葉は「伝えられなかった本心」です。
そちらの意味で捉えても、問題なく解釈できますね。
白い薔薇
白い薔薇の花言葉は「深い尊敬・純潔・相思相愛」などです。
どの意味をとっても腑に落ちる所があります。
尊敬していたユンギに失望し、見限ってしまったとも考えられます。
そしてもう一つ「約束を守る」という意味もあります。これは私個人の考察になりますが、私の中ではこれが一番腑に落ちました。
ジョングクがユンギを救おうと火の中に飛び込んだ時、言葉が出ず何も言えなかったジョングクが辛うじて発した台詞です。
「僕たち、皆で一緒に海に行くことにしたじゃないですか。」
ジョングクは彼等といった海の写真を、それから何度も何度も眺めていました。そこに書かれた日付を覚える程に。
話すことの少なかったユンギとジョングクが、初めてしっかりと話したのも、その海の日でした。
その事から、ジョングクはこの言葉を言ったと思うのですが、それはユンギとジョングクの間にあった約束だったのではないでしょうか。
もしくは、皆との約束だったのかもしれません。
ジョングクが白い薔薇を握り潰すシーンは、暗にその約束が破られたことを示しているのかもしれません。
青い薔薇であったとしても、もしかするとジョングクの夢がまた皆で海に行くことであったかもしれませんし、これは全て憶測なので、核心をついているわけではありません。
参考までにとだけ.......。
その後
そしてジョングクはその薔薇をパラパラと手から落としていきます。
一方ユンギは、床の上に座り込んでしまいます。
これは2人が上手くいかなかったことを表しているのではないでしょうか。
ジミンとホソク
続いてジミンとホソクのシーンです。
この2人は部屋の壁こそ同じものの、他のペアと違って関連しているシーンは少ないように感じます。
ジミンの水槽は彼の入水自殺を表しているでしょう。
そしてホソクは前述の通りたくさんの羽がある部屋です。彼の座っている所はマットレスのようなので、ベッドの上と考えられるでしょう。
RUNでのジミンとホソクのシーンから見ると、場所は同じ病院のようにも思えます。
枕投げのシーンが関連する事は確かだと思うので、そう考えるとホソクはジミンのことを思っているように見えますね。
現に、ジミンが病院に閉じこめられるきっかけとなった発作は、ホソクと居る時に起こりました。そしてホソクが彼を病院に運んだのです。
そしてまた、未来でジミンが一番最初に再会するのもホソクでした。
その事から、ホソクのシーンはジミンに対してのシーンではないかと思うのです。
対してジミンは、水の中で藻掻いています。
藻掻いた末、目を覚まし水から上がったジミンの背後に映る文字。
「YOUTH IS NOT COMING BACK」
恐らくですがこう書かれていると思われます。
これは日本語にすると
「青春は戻らない。」
少し意訳が入っているかも知れませんが。
ジミンはINUで皆で行った海の写真を燃やしていますね。これは彼らにとって1番輝いていた青春だったとも考えられます。
そしてその青春は、もう戻ってこない。
そしてこの言葉はテヒョンのシーンでも出てきます。
左側面ですね。
「YOUTH IS NEVER COMING BACK」
これは「青春は二度と戻らない。」です。
ジミンは"NOT"でしたが、テヒョンはそれよりも強い"NEVER"です。
二人のこの差は一体どういうことなのでしょうか。
そして、ジミンは水の中から上がっていますよね。これはINUとは違う世界です。
その事から、私は何かしら変わっているのではないかと思うのです。
もしくは、ジミンを救うことが出来たのではないか?と思います。
そう考えると、テヒョンとの差はこの事ではないでしょうか?
救うことが出来たのに、青春が戻らないなんて悲しすぎると思いますが...。
ナムジュンとテヒョン
RUNのMVはテヒョンから始まります。そしてナムジュンに切り替わり、彼はパッと受話器を落としてしまいます。
その後フラッシュバックのように現れるのは、幾つものグラフィティ。
グラフィティと言えばやはりテヒョンですよね。その事から、この電話の相手はテヒョンだったのではないかと思います。
また、電話のシーンといえばprologueの冒頭を思い浮かべます。
父を刺してしまったテヒョンがナムジュンに電話をかけ「ヒョン、会いたいです。」というシーンですね。
実はその後、テヒョンの電話が無事ナムジュンに繋がったかどうかは分からないのです。
そしてこのシーンであることから、ナムジュンはテヒョンからの電話を取ることができず、それを後悔しているのではないかと思えます。
その結果、ナムジュンは絶望したように崩れ落ち、座り込んでしまいます。
電話ボックスの文字
そして見ておきたいのが、電話ボックスに書かれている文字たちです。
右上の方に四角に囲まれたように書かれている文字はラテン語で「Dum spiro spero」
日本語訳では「生きている限り私は希望を抱く。」
そしてその下は「PAIN PAST IS PLEASURE」
日本語にするのが難しかったのですが、Painは苦しみ、Pleasureは真逆の意味を指す喜びです。その事から「苦しい過去は喜び」と言った感じでしょうか。
更に、電話の上にはラテン語で「res, non verba」と書かれています。
これは日本語で言うと「不言実行」です。
私が自力で読み取れたのは以上ですが、下の方には「この苦しい世界を生きてきた全ての少年達に捧ぐ」という言葉が書いているそうです。
私としては、どれもとてもナムジュンらしい言葉だと思いました。
彼の残した「生き残らなければならない」というメッセージと通じるものがあります。
テヒョンのグラフィティ
MV中、何度もグラフィティの文字が映し出されます。
実際にテヒョンが書いているものです。
壁には色々書かれており、中央の壁にある「never mind」や右壁の「SAVE ME」はリリースされた曲名でもありますね。
そして真ん中に書かれている文字。
「WHILE THE MARK OF MATURE MAN IS HE WANTS DIE」
DIEの部分は更にしたに「live」と書き直されています。
これは『ライ麦畑でつかまえて』という小説に出てくる一文と似ています。
英文 「The mark of the immature man is that he wants to die nobly for a cause, while the mark of the mature man is that he wants to live humbly for one.」
和訳 「未熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点である。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある。」
壁に書かれていたのは後半の部分です。
テヒョンは成熟した人間になるために、生を選ぼうとしているということでしょうか。
そして、もうひとつあります。
この画像で言う真ん中の小さい文字です。
これは「won't trust」「can't trust」「don't trust」と3回ずつ書かれています。
それぞれ意味は「信用しない」「信用出来ない」「信用していない」です。
これはものすごく意味のある言葉だと思います。
これは一体誰に向けた言葉なのか。
私が思うにナムジュンかジンに向けた言葉に思えます。
ナムジュンに対しては、頼りにしていたナムジュンが電話に出てくれなかったという事。
そしてジンに対しては、ユンギの退学の原因がジンである事を知っていたのはテヒョンだけでした。その事から、ジンに対して不信感を持っていると考えられます。
そう考えると、この後のテヒョンの怖い表情は全てこの二人どちらかに向けての表情なのか....?という所なのですが、正直これだけではなんとも言えないですね。
彼が事に及んでしまった原因は、積み重なった苦しみと怒りのせいだったからです。そのため、この表情は父に対してとも考えることも出来ます。
ジンの部屋
ジンは何かを手にして周囲を見渡しています。
ジミンが目覚め、テヒョンが怪しく笑ったあと、ジンは膝から崩れ落ちてしまいます。
そして苦しむナムジュンの姿が出てきます。
ジョングクが薔薇を潰し、ホソクが映し出されると、部屋が半分だけテヒョンの部屋の壁とリンクしたかのようになります。
ここでわかりやすいのが、蝶の姿です。
直前の歌詞にも蝶が出てきましたし、壁に大きく描かれた蝶、そして天に飛んでいく蝶。
蝶はキリスト教では「復活」の象徴とされており、今世とあの世を行き来する力があると言われているそうです。
つまりこの蝶は「死」を表しているのではないでしょうか。
では一体誰が、となりますね。
私は亡くなったと言うよりも「ジンのタイムリープが失敗した」と考えています。
つまりジンが防ぎたかったことが起こってしまったのでは無いでしょうか。
直前のシーンから考えると、ジョングク、ホソク、テヒョンが怪しいです。
特にホソクとテヒョンは後ろに倒れるシーンが似ています。
ジョングクが薔薇を握り潰すことから、ユンギを救うことが出来なかったとも思えますし、ホソクは後ろにばたりと倒れます。
これは彼の転落事故を表しているのかもしれません。
そしてテヒョンは倒れた後、赤いスプレーが出ているのです。
これは素直に血を想像してしまいますね。
死か、殺人か、どちらにしても最悪の事態が起こってしまったと考えられます。
まとめ
つまり、時系列としてはいつなのか。
日本語版RUNのMVは「失敗」が多く描かれていると思います。
これは、ソクジンがどれほどの失敗を重ねてきたかよく分かります。
韓国版RUNと日本語版RUNはほぼ同時期でしょう。
韓国版では描かれなかった失敗を描いているのが日本語版、私はそういう風に感じました。
次回は花様年華の中でキーとして出てくる場面について書いていきます。