⑧花様年華 考察<Prologue> 夢の世界説
※以下、花様年華Note・漫画 花様年華<SAVE ME>ネタバレ注意
久しぶりの更新になります。
タイトルから分かる通り、今回は以前書いたPrologueの考察について追記という形で書いてみたいと思います。
前回の記事
今回書くのは前回と全く違う考察になります。
前回の考察を書くに当たってもPrologueは本当に悩んだのですが、一応結論づいた考察が前回書いた内容でした。
個人的には夢の中説よりもタイムリープ説を推していたのですが、今回はその「夢の中説」に近い考察です。
かなりぐだぐだになってしまった上に、大した内容でもないので流し見程度で大丈夫です。
MVの構成
ではまずMVの構成を振り返ってみましょう。(ここは前回の考察と同じです)
Prologueはテヒョンが電話をかけるシーンから始まりますね。
手が血で塗れていることから、INUのシーンの続きということが分かります。
そのシーンの後、画面が切り替わり森の中のシーンへと移ります。楽しそうに過ごす彼らが海に行き、そこでテヒョンは展望台から海へと飛び降ります。
注目する点
今回私が注目したのは、BGMで使われている「Butterfly」の歌詞です。
夢なのか現実なのかが分からない
僕の海辺のカフカよ
あの森には行かないでくれ
RMのラップ歌詞の部分です。これは韓国語の和訳ですが、日本語の歌詞でも似た意味の歌詞です。
他の部分の歌詞に比べて、具体的なこのワード。
この「海辺のカフカ」「あの森には行かないでくれ」というのは何なのか調べてみました。
海辺のカフカ
実際に読まれた事がある方もいるのではないでしょうか。
私は読んだことがなかったので、この言葉にピン来ず色々調べてみました。
そしてこの小説の内容が意外にもPrologueのMVとリンクしている箇所が多かったのです。
今回はこの小説を基に考察をしてみたいと思います。(今更)
似ているシーン
考察をするにあたって「海辺のカフカ」のストーリーを知らなければ元も子もないので、取り急ぎ色々調べてみました。さすがに読破する時間がなかったので、あくまで上辺だけで理解した概要になります。
この小説はカフカという15歳の少年が主人公です。ざっくりと内容の説明をすると、父親から掛けられた”呪い”を回避するために家出をし、四国に行ったカフカと、また違った理由で四国に行くことになったナカタという人物。全く接点のない二人でしたが、何かの運命で絡まり合いながら、お互いの目的の為に旅をするといったようなお話。
これだけでは全く分かりませんが、深く説明するのは難しいので気になる方は調べて見るのが良いかと思います。
カフカが旅をする理由は父に掛けられた”呪い”を回避する為。
その呪いとは「お前はいつか自らの手で父を殺し、母と姉と交わる」というものでした。この呪いが発動することを恐れたカフカは、呪いから逃げるべく遠い四国へと逃げるのです。
父殺し
テヒョンとの共通点は「父殺し」というワードです。
INUのMVからも分かる通り、本当の過去ではテヒョンは父を殺してしまいます。
しかし一方で、「海辺のカフカ」の物語では、カフカは父親を殺してはいません。呪いの通りにはいかなかったのです。しかし結局カフカの父はナカタという人物によって殺害され、それによって物語は展開します。
カフカとテヒョンの家庭環境も似ており、母がいないことや兄弟構成も同じです。
あちら側の世界
もう一つ、似ているように感じるところがあります。
それがButterflyの歌詞にも出てくる「森」です。
「海辺のカフカ」ではあちら側の世界というものが出てきます。これは具体的にそう言われていたわけではありませんが、死後の世界と似ていて意識だけが存在している世界のようです。つまり肉体とは分離した世界。
あちら側の世界への入口が開かれる原因は幾つかあるようで、例えば命を失いかけたり死の間際に直面すると開いてしまうことがあるようです。
そしてそこに長く留まってしまうと、もう元の世界には戻る事ができません。
物語の中でカフカは森の中へ入ったことで、あちら側の世界に行くことが出来ました。
これはナカタによって入口が開かれていたからでもありました。
そこでカフカは死んだはずの人物と出会います。彼女に現世に戻るように説得され、森を下り現世へと戻ったのです。
この”森の中が異世界に通じている”というのが個人的にすごく引っかかりました。
PrologueのMVは今現在の情報だけでは、タイムリープ後と断定することが非常に難しいです。
その違和感を、もしこれが”夢の世界であったら”と考えると、意外とすんなりと入ってくる部分も多いのです。
「海辺のカフカ」はナムジュンの愛読書でもありますから、この言葉達は本当にラップの歌詞に出てきた一文に過ぎないのかもしれませんが、一度そういった視点で考えてみても面白いかと思い、今回は考えてみます。
夢の世界説
前提
ではまず見失ってはいけない大前提を見ておきます。
- ソクジンはタイムリープをしていること
- 本当の過去ではないこと
ソクジンがタイムリープをしていることは、ほぼ決定事項です。
今回考えるのはPrologueがタイムリープ後の世界であるのか、夢の世界であるのかという点で、そもそもソクジンがタイムリープをしていないのではないか、という話ではありません。
そしてその上で、前回のPrologueの考察でも書いた通り、これはINUの続きでもそれ以前の学生時代とも考えにくいため、本当の過去ではないでしょう。
この二点は大前提として見ておきます。
PrologueのMVにおける違和感
なぜタイムリープ後説ではなく、この説を考えるに至ったかは先ほど説明しましたが、他にもいくつか理由があります。
PrologueのMVでは、タイムリープ後だと考えても根拠が付けられないシーンがあります。そういった点が多く、本当に苦労しました。
あくまで個人的意見ではありますが、その部分を紹介します。
- 序盤の電話シーンから森へのシーンへの切り替わり
- テヒョンが飛び降りる理由
- RUNの水中シーン
ひとつひとつ見ていきます。
急なシーンの切り替わり
一つ目は最初のシーン。
INUの続きともとれる電話シーンの後、その続きとしては到底思えない和やかなシーンに、急に画面が切り替わります。
回想でもなく、続きでもない。
タイムリープ後だと考えても、どうして同じMVの中で別の世界線の話が急に出てくるのか、個人的にすごく違和感があったのですが理由としてしっくりくるものがありませんでした。
前述で「海辺のカフカ」では森の中に入ることで、あちら側の世界へと通じた、と書きました。
Prologueの序盤、テヒョンは既に森の中にある廃プールにいます。そしてそこへ皆がやってくる。
もしもこのシーンが「海辺のカフカ」と似た様な意味を持っていたら?
あちら側の世界というのは、言わば想像の世界。夢の世界とも言えますね。
何かが原因で別の世界へ入ってしまったテヒョンは、そこで今は会えないはずの6人と再会する。
MVで実際に森の中へ入ってきたのは他の6人ですが、先に来ていたのはテヒョンなので、この場合はテヒョンがやはり主人公でしょう。この世界に迷い込んだのはテヒョンだと考えられます。
この”きっかけ”ですが、私は”父を殺したこと”もしくは”血”が引き金になったのではないかと思います。
これは完全に憶測でしかないので「ああそうですか」くらいの話なのですが「海辺のカフカ」で老人のナカタが四国を目指すきっかけとなった出来事が、どうやらカフカの父を殺し、血に触れたからのようなのです。
これは父に取り憑いた悪魔が原因なのですが…まぁさすがにそこまで一緒ではないと思いますが、理由としてあってもおかしくないかなとは思いました。
しかしテヒョンが実際に事件を起こした後に、自らの足で森に行ったのかという事は分かりません。
6人(正確にはソクジンを除く5人)が森の中を歩くシーンは、テヒョンがあちら側の世界への入ったという隠喩的な表現という事も考えられます。
実際に森に行ったかどうかというのは、そこまで重要ではありません。
(実際に「海辺のカフカ」にはメタフォリカルな...という言葉が多く出ます。メタフォリカルは隠喩を指します。その事からこういった意味も考えられるのではと思いました)
急なシーンの切り替わりは、時系列としては同じだけれども、テヒョンが想像の中にトリップしている…という風に見れば、タイムリープ後だから切り替わるという考えよりは腑に落ちる気がします。
テヒョンが飛び降りる理由
そして最後の展望台からテヒョンが飛び降りるシーン。
実は現段階では、この先テヒョンがどうなったのかはどこにも書かれていません。
今までの記事でここでテヒョンの死因が変わっている、と書いていましたが、実際にこの飛び降りでテヒョンが死んでしまったのかどうかは分かっていないのです。
かといって、テヒョンが助かり、この先も未来が続いたのかというとそうも考えられません。タイムリープしたと思われる内容があるからです。
ではそもそも、どうしてテヒョンは飛び降りたのか。
もしも飛び降りたのがソクジンであれば、理由は考えられます。
タイムリープを起こしたいからです。
前回までの考察で書いたかどうかは定かではないのですが、ソクジンが死ぬとタイムリープが起こるということが漫画から分かっています。(その事からタイムリープの発生理由はソクジンも含めた7人が不幸になる事だと考えられます)
しかしテヒョンはもちろん、タイムリープを起こすことは出来ません。
そう考えるとテヒョンは死のうと思って飛び降りた、としか思えません。
ですが、もしここがテヒョンの想像の世界だとすればどうでしょうか。
前回の記事で、映画「インセプション」に基づいて考察されている方のブログを紹介しました。
現在公開されているより以前のPrologueのクレジットで、インセプションの劇中曲が使用されていたことからの考察です。
インセプションでは、夢の世界から現実世界へと戻る方法があります。
それは夢の世界で死ぬか、三半規管に刺激を与えることで現実世界にいる自分の意識を覚醒させるというもののようです。
そういった観点から見てみると、テヒョンの飛び降りは現実世界へ戻るための手段ではないか、とも考えられます。
何かのきっかけで夢の世界へと入ってしまったテヒョンが、今は会えなくなってしまった6人と過ごす事で現実を受け止め、飛び降りる事によって夢の世界から脱する。
そういった考えもできるかもしれません。
RUNの水中シーン
最後にRUNの水中シーンについてですが、私はずっと不思議に思っていた事がありました。
どう見てもPrologueの続きにしか見えないのに、テヒョンの服装が違う事です。
Prologueでの、この日のテヒョンは黒のパーカーに黄色のTシャツでした。
しかしRUNの水中シーンではNIRVANAと書かれた黒のトレーナーを着ています。
撮影日の都合上…と思ってしまえばどうしようもないのですが、もし何か理由があるとすればそれは何なのでしょうか。
テヒョンがこのトレーナーを着ているのはRUNのMV以外、後にも先にもありません。
現在公開されているMVではどの続きに当たるかどうかは、それこそPrologue以外には考えにくいです。
そして意味深なのはRUNの序盤と最後のシーン。
テヒョンが背後から落ちるシーンでRUNのMVは始まり、起き上がるシーンで終わります。
前回RUNのMVでは、最後にテヒョンが水面から上がれることから、テヒョンが助かったのではないかという考察を書きました。
そう考えられるな、と今でも思います。
しかし、もしこれが隠喩的な意味を含んでいるとしたら。
単純に「テヒョンが夢の世界から脱出した」とも考えられます。
インセプションと同じようにです。
夢の世界だから、と考えると服装が違うことも腑に落ちます。
ですが個人的にはそれだと少し物足りないような気がしています。
PrologueのMVが、何故「Prologue」なのか。
RUNのMVで何故このシーンが挿入されているのか。
そしてこの服装の違い。
正直そこをまだ考えられていないので、ここについては何か考えが固まったら今後書いてみたいと思います。
この考察による矛盾
もしPrologueが「テヒョンの夢の世界」と考えた時、確かにMV中の違和感を解消できる部分があります。
夢の世界へと迷い込んでしまったテヒョンだが、7人で過ごした後現実へと戻る。そしてその後INUの続きに進んでいく。(つまり警察に捕まるテヒョンをソクジンが見かけるシーンに繋がる)
しかし、同時に別の矛盾も生まれてしまいます。
- どこまでが「夢の世界」なのか
- ソクジンがテヒョンの「夢の世界」を知っているのは何故?
まず、どこまでが「夢の世界」なのか。
考察を書くにあたって、ソクジンのタイムリープは確定していると言うことから、Prologueだけが「夢の世界」の可能性があるとして考察すると書きました。
つまりそれ以降のRUNやEuphoria、Highlight Reelはタイムリープ後と考えています。
もしそれらも「夢の世界」であれば、ソクジンがタイムリープをしているというのもテヒョンの夢となってしまいます。何でもありです。そう言うわけにはいきません。
次に、何故ソクジンがテヒョンの夢の世界を知っているのか。
現段階ではソクジンが、海辺のカフカの登場人物と同じように夢の世界へと入れる人間かどうかは分かりません。*1ソクジンが後から合流しているような点から、そう言ったことが推測出来なくはないですが、今はまだソクジンがテヒョンの想像で生まれたソクジンなのか、本当のソクジンなのかは分かりません。
本当のソクジンで、もしテヒョンと同じように夢の世界へと入ることが出来たのだとしたら、ソクジンがタイムリープしても覚えていておかしくありません。
EuphoriaのMVのような展開でも、そこまで問題はないでしょう。
しかし、ただのテヒョンの想像だったなら。
ソクジンはテヒョンに言われるまで、彼が悪夢を見ている事も知りませんでした。
そんな彼が、テヒョンが展望台に登ったこと。そしてそこから飛び降りたこと。
それを知っているはずがありません。
ですが花様年華Noteから、ソクジンはそれを知っていることが分かります。
彼はテヒョンだけを救えなかった事に、そこで気付いたのですから。
ここで矛盾が生じます。
今後の展開にも関わる一番大きな矛盾です。
個人的な結論
正直な所、私がこの夢の世界の説をあまり考えなかったのは、明確な伏線や情報がない限り、夢の世界説というのはあまりに万能であり、言ってしまえば何とでも考えられてしまうからです。
その一方で、結論付けにくい部分や違和感を補う考察ができる事も確かです。
しかしその分、やはり矛盾が生じてしまいます。
今回は歌詞からの推測で「海辺のカフカ」を元に考えてみましたが、やはり完全にそう言い切るには情報が少なすぎますね。
Prologueだけが夢の世界と言うのも変ですし、ソクジンがそれを知っていることはもっと変です。やはりここが大きな矛盾でした。
夢なのか現実なのかが分からない
僕の海辺のカフカよ
あの森には行かないでくれ
この歌詞はもしかすると、それこそ隠喩的な意味合いかもしれません。
Butterflyの歌詞は大事な人を失う事が怖い、という意味も込められていますから、大事な人があちら側の世界に行かないでくれと、そう言う意味なのかもしれません(というか本当にこう言う意味では?)
思った以上にグダグダになってしまい、ここまで読んでくださった方には時間を頂戴しただけになり申し訳ない気持ちです。
RUNの考察についてはもう一度考えてみたいと思います。
そしてもう一つ、Prologueとは少し無関係ですが別の話を。
テヒョンが見る悪夢について
テヒョンが何故悪夢を見ているのかについてです。
これについて理由はまだ分かっていませんね。
ソクジンがタイムリープを始めてからだということは分かっていますが、どうしてそんな不思議なことになっているのか、今はまだ全く説明がないのです。
テヒョンの夢の内容は彼らの本当の過去でした。
しかし私はテヒョンの悪夢はただソクジンが重ねてきたタイムリープの記憶ではなく、予知夢の可能性が高いのではないかと思っています。
理由は花様年華Noteにあります。
これはEuphoria以降の話になりますが、ソクジンが皆とまた海に行けるようになり、今度こそ全ての過ちを正した後、テヒョンの悪夢の内容は変化しました。
それはソクジンが皆の未来を変えたからでしょう。
そしてテヒョンが次に見るようになったのは、ソクジンが目の前で女性を亡くす悪夢。
そのメッセージを見た瞬間、夢を思い出した。
ソクジン兄さんが見ている中、1人の女性が事故で死ぬ夢。
その夢の終わりが花火大会だった。
この夢が指すのはHighlight Reelのシーンです。
8月30日に本当に起こる未来であり、つまりテヒョンもソクジンさえも知らない未来です。
テヒョンは本来起こるはずだった未来を夢で見ています。
今まで私はテヒョンの悪夢はどちらかというと「ソクジンのタイムリープの記憶を共有している」と言うものに近いイメージで考えていました。
ソクジンも初めてテヒョンから悪夢の話を聞いた際「どうして知っているんだ」といった反応だったので、勝手にそう思ってしまっていました。
しかしそう考えると、8月30日の話のようにソクジンが知らない未来をテヒョンが悪夢で知っているのはおかしいんですよね。
知っているのであれば、ソクジンは彼女と花火大会には行きませんでした。(Highlight ReelのMVのように)
そのことから予知夢の可能性が高いという考察に至りました。
そして肝心の悪夢を見ている理由ですが、これはいつかわかるのでしょうか。
どこかにヒントが零れていないか気になります。
Highlight Reelの記事は考えがまとまってからにしたいと思います。
歌詞考察も楽しいので、少しずつ。
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