③花様年華 考察<I NEED U>
※以下、花様年華Note・漫画 花様年華<SAVE ME>ネタバレ注意
前回までの記事で、ストーリーを語る上でかかせない大前提として、それぞれの過去やソクジンについてお話いたしました。
今回は具体的にMVでどう描かれているのかを詳しく見ていきたいと思います。
その中で一番始めに見ておきたい「I NEED U」について今回書いていきたいと思います。
目次
I NEED Uについて
今現在公開されているINUのMVは、実はカットされている部分があります。
発売当初公開したMVが年齢制限を受けた為、問題シーンをカットしたものが今公開されているMVです。
しかし、ストーリーを見るに当たって、そのカットされたシーンがとても重要になります。
そのため今回はオリジナルのMVを元に考察していきますが、ショッキングなシーンでもあるため苦手な方はご注意ください。(分かりやすくするためスクリーンショットを貼りますが、血や人を刺すシーンがあります。)
本当の結末
ソクジンはタイムリープをしています。
それは何故か。6人の友人を救うためでした。
救わなければならない理由があるのです。
では、一体何が起こったのか。
それがこのINUのMVに描かれています。
私はINUの世界が、彼らの本当の結末だったのではないかと思います。
そしてこれは花様年華Noteにも書かれているため、間違いないかと思います。
時間軸としては、彼らが共に7人で学校生活を過ごし、離れ離れになってしまった後の話になります。
では一つ一つ、シーンを見ていきましょう。
花様年華シリーズでは、別のMVでもリンクしている箇所があります。
そこにも触れながら見ていきたいと思います。
ソクジンと百合の花
ソクジンは一人、部屋のベッドの上で手のひらに百合の花を持っています。
INUのソクジンのシーンでは、百合の花が多く出てきます。他のMVやティザーでも出てくるのですが、それが一体なんの役割を成しているのかはこのMVでしか推測することが出来ません。
冒頭のシーン以外にも、百合の花が出てきますね。
ソクジンは百合の花を地面に手向け、火をつけます。
この行為が一体何を表しているのか、MVにも花様年華Noteにも正確には描かれていません。
その中で多く考察されているのが、この百合に火をつける行為がタイムリープのきっかけになるのではないか、というものです。
これについては後ほど詳しく書きます。
そしてタイムリープが起こり、時間が巻き戻るとソクジンは必ずベッドで目覚めます。
まるで長い夢を見ていたかのように、です。
つまりこれらはソクジンがタイムリープをした後、というのが最も考えやすいです。
ソクジンのタイムリープについては、花様年華Noteや漫画で少しずつ明かされてきています。今後もっと深いことがわかるかも知れません。
途中、ソクジンの左胸に百合の花が浮かび上がるシーンがあります。
百合の花言葉は「純粋」「無垢」であることから、百合は6人の純潔を表しているように思えます。
花びらが6枚あることから、ソクジンが6人の運命を背負っているかのようにも思えます。
またジンのソロ曲「Awake」の歌詞にも同じ表現がありますね。
それでも六輪の花を手にしっかりと握りしめ
僕は歩むだけだ と
この6枚の花びらはやはり、彼らのことを表しているのだと思われます。
百合の花びらが6人の過去であるとすれば、ソクジンはタイムリープをするためにその過去を燃やし、そして時間を戻しているようにも見れます。
さて、先ほど少し書いた百合を燃やすシーンについてです。
ソクジンどういった方法でタイムリープをしているかは、MVだけでは読み取ることは出来ません。最も怪しいのはこの百合を燃やすシーンですが、断言するには情報が少なすぎるのです。
では花様年華Noteや漫画「花様年華 Pt.0<SAVE ME>」ではどうなのか。
実は漫画にはタイムリープについて詳細が描かれています。
漫画では不思議な生物によって“時間を戻す力”をソクジンは得ています。
その後ソクジンが目覚めると、既に時が戻っており、それ以降は彼らが不幸になると自動的にタイムリープが起こる、と言う事が分かっています。
つまりソクジンが彼自身の意志でタイムリープを起こしていると言う訳ではなく、戻ってしまうのです。
一方小説には具体的なシーンはありませんが、タイムリープが起こる様子を見る限りでは漫画と似ている様に思えます。
しかしMV中にはその不思議な生物は出てきません。
(漫画と同じ様に、タイムリープが起こる際のガラスがパリンと割れる様な演出は多く出てきますが)
その代わり、漫画にも小説にもない、この“百合の花を燃やす”演出があります。
百合の花がタイムリープと関連していることは確かでしょう。
はじめ私は、ソクジンが百合を燃やし、睡眠に入ることによってタイムリープを引き起こしているのではないかと思いました。
もしくはその儀式がソクジンがタイムリープをする力を得た儀式だったのでは、と。(漫画では不思議な生物から力を得たように)
しかしどうやらそうでは無さそうに思えてきました。
漫画や小説とMVの設定や演出が完全に一致しているかは分かりませんが、もし同じだと考えるとやはりおかしいからです。
これは私の解釈になりますが、6人の存在である花びらを燃やしているということは、
ソクジンがタイムリープに失敗したことを表しているのではないかと思います。
彼らの命が尽きたこと=百合が燃える という演出ということですね。
今のところ、私の中ではそれが一番腑に落ちました。
ソクジンがカーテンを開けて窓の外を見ているシーンがありますね。
このシーンは漫画でも描かれています。
ソクジンはタイムリープが起き、ベッドで目覚めた後、いつもこうしてカーテンを開けています。
ソクジンが一体いつの日に戻っているのか、それについてはまた後ほど書こうかと思います。
それぞれの今
では続いて、ソクジン以外の6人のシーンについてです。
ホソクは薬を飲んでいます。
ジョングクは街を徘徊し、ユンギはモーテルのベッドで寝転がっていますね。
テヒョンが座っているのは、自宅のアパートの廊下です。部屋の中を気にしています。
部屋の前には空き瓶があり、テヒョンの父がアルコール依存症であったことも描かれていますね。
ナムジュンが飴を舐めている場所はガソリンスタンドです。客が来て車に近寄っていきます。
そしてジミンはバズタブで、何かを燃やしています。
前々回の記事のそれぞれの過去を読んでもらえば分かる通り、6人の過去のトラウマに関連した事柄や、それが原因で抱えている問題が分かりやすく描かれています。(ユンギがモーテルにいるのは、自宅に帰っていないためだと思われます)
では一人ひとり見ていきます。
ユンギの結末
ではまずユンギ。
ユンギはモーテルという、簡易宿泊所にいます。ライターをカチカチとつけたり消したりするのはユンギの癖のようなものでした。
モーテルのシーン以外に、prologueにあるキャンプファイヤーのシーンでもライターで付けた火をジョングクに消されているシーンがありました。
ユンギがタバコを吸っている事も理由にありますが、母を火事で亡くしたユンギにとって火は関連深いものだったかと思います。
ユンギの中で母親を火事で亡くしたことは深い傷となっていました。
そしてINUのMVにもある通り、ユンギは部屋に灯油を撒き、火をつけて自殺してしまいます。
母親の死因と同じ焼身。これがユンギの本当の結末です。
ホソクの結末
ホソクがナルコレプシー(居眠り症候群)であったことは、皆が知っていることでした。
なぜなら、それが原因で倒れることが多かったからです。
INUでホソクが道端で倒れるシーンもそれを表しています。
そして薬を飲むシーンは、ナルコレプシーを治療するための薬だと思われていました。
しかし、そう考えるとおかしなシーンがありませんか?
キャンプファイヤーで、ホソクが薬を火に入れているシーンです。病を患っているホソクにとって、それを治す薬を燃やすということは自殺行為のようなものです。
ではなぜそんなことをしていたのか。
それが花様年華Noteに書かれていました。
ジミンだけでなく、誰にも話していなかった。
僕のナルコレプシーが嘘だという事実を。
ホソクのナルコレプシーは嘘でした。
誰にも打ち明けていなかった真実を、ホソクはそこで初めてジミンに打ち明けました。
治す方法を知っていたのに、それを実践してこなかったということを。
踊っている瞬間はホソクにとって、唯一自分らしく居られる瞬間でした。
そのため、彼はせわしなく飛び続けられるダンスに打ち込んでいました。
それ以外の自分は何かに縛られているようで、地面に長く足をつけていることが苦しかったのです。
その苦痛から逃れるように、彼は薬を飲み、所構わず倒れていました。
ホソクは自らナルコレプシーを引き起こしていたと思われます。
飲んでいたのは睡眠薬であった可能性が高いです。
そしてホソクの結末です。
漫画の内容からも、彼はその後事故に遭い、入院することが分かっています。
ジョングクの結末
ジョングクの家には、彼の居場所はありませんでした。
唯一の居場所であった倉庫の教室も失ったジョングクは、学校帰りに街をうろつくことが多かったようです。
MVにもあるように、途中ジョングクは不良に肩をぶつけ、喧嘩になり一方的に暴力を受けます。
これは自らジョングクが招いたことでした。わざとぶつかったのです。
その後のINUでのジョングクのシーンに、まるで車に轢かれるかのようなカットがあります。
このシーンから、ジョングクは交通事故に遭い、亡くなったと考えていました。
現にその考察がほとんどだと思います。
しかし花様年華Noteや漫画から分かる本当のジョングクの死因は「ビルの屋上からの転落」です。
彼は不良にわざと暴力を受けた後、痛む身体を引きずり、工事現場の屋上に来ました。
縁に立ち、下を見下ろすと華やかな色をした夜の街が広がっていました。
ネオンサインや行き交う車、噎せ返るような埃が渦巻いていました。
瞬間的にめまいを感じ、身体がふらつきました。
バランスを取るため、ジョングクは咄嗟に腕を開きました
そんな時、ふとジョングクはこう思いました。
あと一歩、あと一歩踏み出せばすべてが終わる
漫画から読み取るに、ジョングクは本当に飛び降り自殺のために屋上に登ったわけではないようでした。
目を閉じ、縁を歩いている時に足を滑らせるようなシーンがあります。そのまま転落した事故死であるとも考えられます。
しかし真実はジョングクにしか分かりません。
この状況では誰もが飛び降り自殺だと思うでしょう。
ソクジンはタイムリープ後、何度もジョングクが亡くなる所を目の当たりにします。
花様年華のシリーズを通して、ジョングクは手を開いて綱渡りをするかのようなポーズをするシーンが何度かあります。
そしてEuphoriaでは、ジョングクが一人、どこか屋上にいるシーンもありますね。
これらのシーンは、この彼の死亡シーンを彷彿とさせます。
ではINUで描かれているこの「交通事故」のシーンは何なのか。
ジョングクが交通事故に遭う未来は、確かにあります。
しかし今ではなく、実際に起こるのはタイムリープ後です。
今後の伏線とも考えられるでしょう。
ジミンの結末
ジミンは学生時代、バス停で草花樹木園行きのバスを見て発作で倒れ、一緒にいたホソクによって救急救命室に運ばれました。
ホソクとジミンが会ったのもそれが最後で、ジミンはそれ以降ずっと精神科病棟に入院していました。
彼の容態がそれほどまでに深刻だった、というわけではありませんでした。
ジミンは元々身体が弱かったのは事実です。
彼は何度も入院と退院を繰り返していました。
しかしその本当の原因について、知っていたのはジミンだけでした。
彼は医者にも嘘をついていました。
“原因不明の発作”これがジミンの両親が知る彼の病気でした。
それにより、両親によって入院させられていたのです。
ジミンがもう大丈夫だと言っても、両親は退院させませんでした。
次第に彼も、病院から抜け出すことを諦めていきます。
INUのジミンはバスタブのシーンが多いですね。
MVからも分かる通り、ジミンはバスタブで入水自殺をしてしまいます。
RUNでもバスタブが出てくるシーンがありますが、同じ部屋ではないようなので、私はINUでジミンが自殺した場所は、病院ではないかと思います。
入院しているジミンが行ける場所が限られているということと、漫画の花様年華でそういったシーンがあったからです。
ジミンは誰にも会うことすら出来ず、病院に閉じ込められている辛さから、この行動に至ったと考えられます。
そして見ておきたいのが彼が燃やしたもの。
まるで同じかのようなシーンが、この後RUNのクレジット後に出てきます。
この時ジミンが燃やしていたのは何かチラシのようなものです。
RUNとは違っています。これについては今度詳しく見ていこうと思います。
ナムジュンの結末
INUのMVの中だけでナムジュンの結末を予想することは非常に難しいです。
このMVでは、彼がガソリンスタンドでアルバイトをしていること。
そしてずっと飴を咥えていて、その飴を紙幣の上に落とすとタバコに変わることから、ナムジュンが喫煙者だったことは推測出来ます。
ですが分かるのはこれだけです。
花様年華Noteの中にも、その後のナムジュンについて分かる記載は、ナムジュンが喧嘩に巻き込まれたということだけです。ただ、これも一文で出てきたのみで一体何が原因で起こったことかは分かりません。
しかし、漫画にはナムジュンについてしっかりと書かれています。
引っ越しから一年、街に戻ってきたナムジュンはガソリンスタンドで働いています。
ガソリンスタンドに訪れる客は態度の悪い者が多く、ゴミだけでなく代金ですら地面に投げ捨てていきます。それでもナムジュンは耐えていました。
給油係の自分には、何もすることが出来ないと、黙ってその仕打ちに耐えていました。しかし、ずっと耐え続けることは出来ませんでした。
貧困者だとナムジュンをあざ笑い、地面に投げ捨てられた紙幣。我慢の限界だったナムジュンは、その客を殴ってしまい警察に引き渡されます。
警察には和解を勧められましたが、貧しい生活をしていたナムジュンは和解金が払えずそれを拒みます。そうしてナムジュンは拘置所に入ることになります。
これが漫画に描かれているナムジュンの結末です。
INUにも同じシーンがありますね。客がお金を投げ捨てるシーンと、地面に落ちているお金がそうです。
テヒョンの結末
テヒョンについてはINUのMVで詳しく描かれていますね。
テヒョンの生い立ちについては前々回の記事に書きました。彼の父はアルコール依存症でもあり、日常的に家庭内暴力を振るう男でした。
テヒョンの姉は幼いテヒョンを守り、代わりに暴力を受けることもあったようです。
その日、家に帰ると、父が姉に暴力を振るっていました。
それを見たテヒョンは、ついに瓶を手に取り父に殴りかかります。
そしてそれだけでは収まらず、テヒョンはその割れた酒瓶で父の腹部を何度も、何度も何度も刺してしまいます。
MVのこのシーン、姉とテヒョンの表情でとても胸が苦しくなります。
テヒョンの反応から、父を殺そうと企てていたわけではなかったでしょう。
カッと熱が上がって、思わず刺してしまった。
父親を刺してしまい、呆然とするテヒョン。
この後テヒョンは殺人で逮捕され「父親殺し」としてメディアでも騒ぎ立てられることになります。
これがテヒョンの本当の結末です。
7人でのシーン
INUでは個人のシーンが多いですが、7人で楽しそうに遊ぶシーンもあります。
これはまだ7人がバラバラになる前、ナムジュンが引っ越す以前の学生時代ではないかと思います。
RUNでも7人で楽しくやんちゃしたり、遊んでいるシーンがありましたが、それとは違うところがありますね。
これはRUNで詳しく書こうかと思いますが、RUNのソクジンは楽しんでいる場面があったかと思うと、一人だけ、ふと何かを考えているような表情になったりしています。
その一方で、INUのソクジンは素直に笑っています。
本当に楽しそうに、この先に起こる悲劇など何も知らないかのように。
そんなソクジンの様子から、これは7人が前回書いたまだ皆がばらばらになる前の学生時代なのではないかと思うのです。
特に最後の海のシーン。
前回の記事で書いた通り、彼らと海には深い思い出があります。
INUだけでなく、Prologue、Euphoriaにも海のシーンが出てきます。
それは彼らにとって大切な思い出だからです。その思いは皆同じだったと思います。
ではこの海はいつなのか。
それについても考察しているのですが、他のMVを踏まえて見たほうが分かりやすいので、今度花様年華における「海のシーン」について区別して書きたいと思います。
今はただ、学生時代に海に行った事があること、それはとても大事な思い出だということを覚えていてください。
この思い出を知っていると、これから見る他のMVの海のシーンの見方も変わってくるかと思います。
次回